1997年以来、カナダ内外におけるアジア/アジア系の映画を上映してきたバンクーバー・アジア映画祭が、11月7日より開幕する。今年は「Future Voices」をテーマに、ユニークな104の作品を上映(うち86作品がプレミア!)。斬新な視点、想像力に溢れたストーリーテリングなど、アジア系カルチャーの今に触れられる。
今回は、日本人、日系人の作品からおすすめをご紹介。日本や日系の歴史をたどる作品から、現代社会に生きる日本人や日系人を描いた作品、長編から短編まで、多彩なラインアップとなっている。
「Let the Wind Blow」(日本、邦題「風よ あらしよ」)
20世紀初頭を舞台に、女性解放運動家の伊藤野枝の生涯を描いた作品。平塚らいてうに感銘を受けた野枝は、押し付けられた結婚を拒否し、上京する。青踏社に入った彼女は、女性を取り巻く結婚制度や社会規範と戦い続けるが…。
波乱万丈の生涯を送った野枝を演じるのは、現在放送中のNHK大河ドラマ「光る君へ」で主演を務める吉高由里子。演出は柳川強、原作は村山由佳の同名小説。
上映日時:11/10(日) 9:15 pm (127分)
上映場所:International Village Cineplex Theatre
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「Between Pictures: The Lens of Tamio Wakayama」(カナダ)
日系カナダ人の写真家タミオ・ワカヤマの生涯を描いたドキュメンタリー。監督は、バンクーバーを拠点に活動する日系カナダ人のシンディ・モチヅキ。
戦前のカナダに生まれたワカヤマは、強制収容所に送られた後、アメリカ公民権運動に参加する。それがきっかけで故郷のカナダ西海岸に戻った彼は、バンクーバーのパウエル街に集う日系カナダ人の姿を撮り始める。
インタビュー映像、写真、手描きのアニメーションといったモチヅキ監督ならではの手法で、ワカヤマの壮大な人生の旅を綴る。
上映日時:11/8(金) 4:00 pm(71分)
上映場所:International Village Cineplex Theatre
ウェブサイト/トレイラー
「Luka and the Flower of the Sun」(日本、邦題「ルカと太陽の花」)
NHK「プチプチ・アニメ」などを手掛けた村田朋泰監督による、コマ撮りアニメの短編映画。雲に覆われた冷たい村に暮らす少年ルカと、太陽の力を持つ少女ロサ。幼なじみの2人の心の絆を描いた物語。
上映日時:11/9(土) 12:00 pm(29分)
上映場所:International Village Cineplex Theatre
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「Stand In」(カナダ)
日中は役者、夜はウーバーの運転手として生活している日本人のケンジは、ライバルのアジア系俳優クリスの代役を務めることになった。ある晩、ケンジはクリスを車で迎えに行くが、事態は思わぬ方向に…。バンクーバーで活動する山脇大夢監督の短編映画。
上映日時:11/16(土) 4:30 pm(10分)
上映場所:Scotiabank Cineplex Theatre
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「Love’s Greeting」(日本、邦題「愛の挨拶」)
日本人映画監督、岩松あきらによる短編作品。ある日、一人の女性が警察署に現れた。彼女は不法侵入したと言うのだが、警察にはそのような記録はない。彼女の言葉は真実か、それとも虚言か…。当日は、岩松監督、主演の高橋ゆな、柴田晃宏カメラマンが来場予定。
上映日時:11/16(土) 5:45 pm(27分)
上映場所:Scotiabank Cineplex Theatre
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「Tamagoyaki」(イギリス)
イギリスに引っ越してきた日本人の女の子、アヤ。彼女はイギリスと日本の愛情表現の違いに疑問を感じ、母親クミの愛情を疑問視するようになる。日系アメリカ人、メグ・イガラシによる、自身の体験をもとに作られた短編作品。
上映日時:11/16(土) 5:45 pm(4分)
上映場所:Scotiabank Cineplex Theatre
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「Nobuko Miyamoto: A Song in Movement」(アメリカ)
日系アメリカ人シンガーで、活動家でもあるノブコ・ミヤモトの軌跡をたどるドキュメンタリー。強制収容所を出た後にショービジネス界に入ったものの、アジア人として違和感を覚えたノブコ。ニューヨークに向かった彼女は、やがてアジア系アメリカ人ムーブメントに参加する。
監督は、エミー賞を受賞したタダシ・ナカムラとベトナム人のクェン・グエン・レ。
上映日時:11/9(土)2:15 pm(60分)
上映場所:International Village Cineplex Theatre
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「Landscapes of Home」(カナダ)
第二次世界大戦時の日本とカナダにおいて、2人の医者が、それぞれの歩んだ道のりを語るドキュメンタリー。強制移動、投獄、原子爆弾。凄惨な記憶のなかで浮き彫りになる、希望と望郷の物語。監督は、日本で映画を学び、日本、韓国、カナダで活躍しているアリス・イル・シン。
上映日時:11/11(月 ) ~ 11/17(日)(55分)
上映場所: バンクーバー・アジア映画祭サイトにてオンライン上映
ウェブサイト/トレイラー
Vancouver Asian Film Festival
日時:11/7(木)〜17(日)
場所:International Village(88 West Pender St. Vancouver)、Scotiabank Theatre(900 Burrard St. Vancouver)、オンライン上映。
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