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バンクーバーのデカフェコーヒー事情

バンクーバーでのデカフェ事情
バンクーバーでのデカフェ事情

コーヒーを午後に飲むと、夜、眠れなくなる・・・困った記者が出会ったのが、カフェイン抜きのデカフェコーヒーでした! バンクーバーではすっかりポピュラーだけど、日本ではまだ馴染みの薄いデカフェコーヒー。その味わいから脱カフェイン方法、バンクーバーのカフェ事情までをご紹介します。(取材 小川悠)

カフェインで眠れない

日本に住んでいた時に飲んでいたのは、お湯で溶くインスタントコーヒーで、夜に飲んでもまったく問題ありませんでした。バンクーバーに来てからは、自宅のコーヒーメーカーで淹れるドリップコーヒーを飲むようになったのですが、午後に飲もうものなら、決まって朝方3時、4時まで眠れないのです。インスタントとドリップコーヒーのカフェイン量の違いなのか、はたまた精神的なものなのか・・・。そんなところ出会ったのがカフェインを抜いたデカフェコーヒーでした。

デカフェコーヒー

デカフェとは英語の「decaffeinated」を略した言葉で、カフェインを含む食品からカフェインを取り除くことを指します。カフェインが完全にゼロというわけではなく、大手コーヒー会社KEY COFFEEのホームページによると「商品によっては0.2%程度の、ごくわずかなカフェインが含まれている場合もあります」と記載されています。

そもそもカフェインとは?

大手製薬会社大正製薬のホームページには「カフェインは、その代表格であるコーヒー豆、茶葉、カカオ豆などに含まれる食品成分の一つで、アルカロイドと呼ばれる成分の一種です。アルカロイドとは、窒素原子を含む天然の有機化合物で、一般によく知られているアルカロイドとして、タバコに含まれるニコチンや、医療用の鎮痛剤として使用されるモルヒネなどがあります」と記されています。

ニコチンやモルヒネと同じ区分の成分だとは、びっくりしてしまいますね。

なぜデカフェを選ぶの?

その効果は様々ですが、私の場合はカフェインを摂取した日は朝方まで寝られないなど、睡眠に悪影響を及ぼすので、午後からはデカフェコーヒーをはじめ、デカフェ紅茶、ルイボスティー、ハーブティーなどカフェインなしのドリンクを選びます。カフェインの量を必要に応じて使い分けていくことを「カフェインコントロール」とも呼び、最近は、日本でもこの言葉を聞く機会が増えてきました。

脱カフェインはどうやって?

この記事を書きながら、そもそも、どうやってコーヒーからカフェインを抜くのか。それが知りたくなり、ウィキペディア、コーヒー製造会社、焙煎会社ホームページなど調べてみました。興味のない方はドシドシ飛ばしていただきたいのですが、なかなか興味深い内容なので、簡単にご紹介したいと思います。脱カフェインのプロセスは大きく分けて三つあります。

一つ目は有機溶媒抽出法。1906年にドイツで開発された世界初の脱カフェイン方法です。化学薬品を使って脱カフェインを行うものですが、カフェイン以外の成分の損失が大きいため、風味が劣る工程です。また、化学薬品を直接コーヒー生豆に接触させるため、残存率などの問題から、日本では輸入が禁止されています。

二つ目は、水抽出法。1941年にスイス・ウォーター社により開発された方法です。タンクの中で、生豆を水に浸します。水を吸収して大きくなった生豆はカフェインなどの成分が染み出しやすい状況になり、そこから水溶成分ごと薬品を使ってカフェインを取り出します。次に、カフェインが取り除かれた水溶成分を生豆に戻します。この場合、生豆に直接薬品が使われないため、一つ目の脱カフェイン方法よりも安全であり、かつカフェイン以外の成分の損失が抑えられることから、多くのデカフェコーヒーでこの方法が採用されているようです。

三つ目は超臨界二酸化炭素抽出。1974年に開発された最も新しい方法です。とても複雑な工程ですが、簡単に言うと、二酸化炭素に一定の圧力と温度を加えて、生豆に通すことでカフェイン成分だけを除去できる方法です。薬品を使わないため、極めて安全な脱カフェイン方法である一方、除去にかかる費用が高いため、その方法で作られたデカフェコーヒーも値段が高くなってしまうデメリットがあります。

デカフェは味が違うのか?

私個人の感想ですが、自宅で飲むデカフェコーヒーは風味が薄く、コーヒー独特の苦みが抑えられているような気がします。上記の脱カフェイン方法の違いにより、風味の劣化もまた違ってくるため、味も変わるものと考えます。ただし、私は通常、風味の強い濃いコーヒーを好んでいるため、余計にそう感じるのかもしれません。

日本ではまだ普及していない

日本では、外出先などでランチセットを頂いた場合、困るのが食後のドリンクです。温かい飲み物の選択肢は、コーヒーか紅茶の2択で、デカフェは聞いたことがありません。食後に甘いジュースは飲みたくないし、でも、せっかくセットに含まれているのだから注文しないともったいない!というジレンマが多々あります。

バンクーバーのカフェのデカフェ事情

バンクーバーのカフェでは、デカフェのドリップコーヒーは大体のお店にはあります(全てではない)。しかしデカフェのエスプレッソ(イタリア生まれのエスプレッソは、バリスタがその場で作ってくれるコーヒーの類で、細かく挽いたコーヒー粉を圧力で一気に抽出する、ドロッとした見た目のコーヒーのことです)は、ほぼすべてのお店で提供されています。よって、エスプレッソを使ったラテ、キャラメルマキアートなどのドリンクはデカフェで飲むことが可能ですよ。

お店のメニューにデカフェの表示、なかには抽出方法の記載があるカフェもあります。よく見かけるのは前述したスイス・ウォーター社方式。なお、スイス・ウォーター社本社はデルタにあります。こんな身近にある会社が世界的に採用されているデカフェの工程を開発していたとは、驚きです。

スーパーでも手軽に買える

デカフェコーヒー豆はどのスーパーでも気軽に購入できます。私が自宅で飲むデカフェコーヒーも大手コーヒー会社のもの。本記事を書くにあたって、各会社の脱カフェイン方法をインターネットで調べてみたところ、やはりスイス・ウォーター方式でした。なお、ティム・ホートンズ、マクドナルドも同じスイス・ウォーター方式。今後は、自宅用デカフェコーヒーを買う際は、脱カフェイン方法も調べて買ってみます。

デカフェはバンクーバーに根付いている!

微量のカフェインしか含まれていないので、妊婦さんや授乳中のお母さんのリラックスタイムにも。かくいう私も妊娠、授乳中は1日に1杯、デカフェコーヒーを飲んでいました。また午後にカフェインを取りたくないけれど、コーヒータイムを楽しみたいというカフェインコントロールしたい方にもバッチリです。カフェ、スーパーなど、これだけデカフェが一般化しているバンクーバーだけに、試してみない手はないですね。今後は日本でも多くの場所でランチセット・ドリンクの選択肢に入れてほしいと願っています。


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