1月になると、ハート形をしたチョコレートが店頭に並ぶというのは、日本もカナダも同じ。ただ異なるのは、カナダのバレンタインデーでは男性から女性に贈り物をすること。プレゼントもチョコレートよりバラの花束が人気で、一年で一番花が売れる日だと言われています。記者の住むケベック州でも、この日には花束を抱えて帰宅する男性がたくさん。今回は、そんなカナダのバレンタインデーの過ごし方について解説します。(文 石原亜希子)
カップルの過ごし方
日本では片思いの相手にチョコレートを贈るイメージですが、カナダでは恋人や夫婦のためのイベントという認識が強いです。レストランはバレンタイン特別メニューを用意し、席も二人席を多めに準備します。人気のレストランは、当日はほぼ満席となるので、予約が必須。(参考:フェアモントホテルバンクーバーのアフタヌーンティー や2月のイベント情報 )食事の他にも、カップルマッサージと称されるスパマッサージを二人で受けたり、映画デートをしたり。長年連れ添った夫婦も、恋人気分を味わう日という印象を受けます。
家族の過ごし方
カナダ人のバレンタインの平均予算は$150というデータ*1もありますが、子育て世帯では、家でちょっと特別な食事とデザートを楽しんだり、手紙やカードを渡したりと、家族に愛と感謝を伝える日でもあります。また家族が遠方に住んでいる場合は、この機会に電話をしたり、カードを送ったりします。
子どもたちの過ごし方
2月になると子ども服売り場ではバレンタイン用の服が売り出され、14日に備えて、ピンクや赤い服を購入する保護者たちが目立ちます。小学校では、先生がバレンタイン・ギフトを入れる箱を教室に設置するなど、学校容認のバレンタインデーイベントが行われるのが一般的です。
生徒たちは、バレンタイン・ギフトの箱に、手紙やカード、またチョコレートなど、クラスメートに渡したいものを前もって入れておきます。当日は、その中に入っているものを先生が配ります。そのため、保護者へは、「バレンタインデーをお祝いしたい場合は、クラスメート全員分のギフトを準備するように」とお知らせが届くことがあります。
また担任の先生からも、生徒全員に対してプレゼントが配られたり。日本のように隠れてこそっと好きな人にプレゼントを渡すというよりは、オープンに友情を深めたり感謝する機会となっています。
シングルの過ごし方
ここまで読んできて、なんだか日本のクリスマスのような感じがするなと思う人もいるかもしれません。シングルにとっては、寂しさを感じる人もいるようで、この日は「SNSから離れて過ごす」というアドバイスも見かけるようになりました。また、2月15日をシングル・アウェアネス・デイとする動きも見られます。多様化が進み、シングルを選ぶ人も増えているので、自然な流れかもしれません。まだあまり普及していない非公式の祝日ですが、今後、セルフケアなど自分を大切にする日として注目されるかもしれませんね。
とはいえ、寒くて長いカナダの冬では、イベントがあると楽しみが増えます。クリスマスと春の狭間、街を飾るバレンタインのデコレーションは、見るだけで心躍るもの。さらに、バレンタインに欠かせないチョコレートは、カカオに含まれるテオブロミンが癒しに関係するホルモン「セロトニン」を増加し、リラックス効果を与えると言われています。カップル、シングル、ファミリー、それぞれのスタイルでバレンタインを楽しみたいですね。
石原亜希子:首都オタワの隣ガティノー在住。ヴィーガン料理・ヨガ・瞑想・クリスタルボール演奏などウェルネスやヒーリングをライフワークとしている。ハイキング、パドルボードやスノーシューなどカナダの大自然の中で過ごすのが好き。