美しい海と山のもとで自分らしく輝ける街バンクーバーにようこそ!
海沿いの遊歩道の一方にはビルが、そしてもう一方には、山頂に雪を戴く山々が見える。街にはあらゆる国のレストランが立ち並び、道行く人々は、さまざまな言語で会話している――。
コーヒー片手に職場へと向かう人、大きなベビーカーを押すお母さん、サイクリング用ウェアでさっそうと自転車に乗る人、この街では誰もが、どこかのんびりした雰囲気だ。雄大な自然のなかで、リラックスしたアーバンライフが楽しめるバンクーバー。その横顔をご紹介しよう。(文 宗圓由佳)
Geography
バンクーバーは、カナダ西海岸ブリティッシュ・コロンビア州の南西に位置している。「バンクーバー」には2種類あり、「バンクーバー市」のみを指す場合と、その周辺の21の自治体を含む地域「メトロ・バンクーバー」を指す場合がある。メトロ・バンクーバーの人口は約246万人で、トロント、モントリオールに次ぐ、カナダ第三位の規模を誇る都市圏だ。
ちなみにブリティッシュ・コロンビア州の州都はバンクーバーではなく、バンクーバー島にあるビクトリア。バンクーバーに比べるとこじんまりとしているが、イギリス風の優雅な町並みで、観光客にも人気がある。
Nature
バンクーバーの最大の魅力は、北米有数の大都市でありながら、豊かな自然に囲まれていることだろう。高層ビルが立ち並ぶ中心部ダウンタウンも、少し歩けばそこは海で、ビルとビルの間からノースショアの山々が見える。
近郊には自然を楽しめるスポットがたくさんある。手軽に行けるのは、ダウンタウンに隣接するスタンレーパークだ。400ヘクタールの広大な公園で、森の中のトレイルを辿ったり、海を見ながらのサイクリングにトライしたい。
ノースショアの山々では、夏はハイキング、冬はスキーやスノーボードが可能。ゴンドラのあるグラウス・マウンテンなら、車がなくても、素晴らしい眺望と自然を楽しめる。
バンクーバーは気候が温暖で、市街地は雪が少なく過ごしやすいのも魅力だ。
History
ヨーロッパの探検家が到達する以前、この地域にはサリシュ海岸先住民族と呼ばれる人々が居住していた。最近では公共施設や公園の名前を、先住民由来の名前に変える動きがある。
ブリティッシュ・コロンビア州では毛皮交易所の設立とともにヨーロッパ人の入植が始まり、19世紀にはバンクーバー周辺で林業が盛んとなる。正式にバンクーバー市が設置されたのは1886年。同じ年にバンクーバー大火が起こり、街はほぼ全焼したが、その後再建された。ダウンタウンに近いガスタウン周辺には、当時の街の雰囲気が残っている。
People
バンクーバーの街を歩いていると、さまざまな人種、文化、言葉を持つ人々と行き交う。それもそのはず、メトロ・バンクーバーの人口の42%は移民なのだ。さらに2021年の国勢調査では、非白人の割合が54%と半数を超えた。そのうち最も多いのが中国系で、南アジア系、フィリピン系と続く。日本にルーツを持つ人は約3万2000人。
最も非白人の割合が多いのは、中国系の多いリッチモンド市で、ダウンタウンには漢字のサインが溢れている。バンクーバー市でも中国系が一番多く、2022年にバンクーバー市長となったケン・シム氏は、初の非白人・中国系の市長である。
またブリティッシュ・コロンビア州では2003年から同性婚が認められている。毎年8月に行われるLGBTQの祭典「プライド・パレード」は、毎年10万人の人々が集まる、バンクーバーでも最大級のイベントだ。
Food
多様なバックグラウンドの人々が集まるバンクーバーには、当然ながら、世界各地のあらゆる美味が溢れている。おなじみ中華、フレンチ、イタリアン、インド、ベトナムをはじめ、フィリピン、マレーシア、ギリシャ、ウクライナ、レバノンなど日本ではあまり馴染みのない料理も。オーセンティックな各国料理が楽しめるのは移民の国ならではだ。
日本食も大人気で、なかでも和風ホットドッグや、焼いたサーモンをネタにしたBCロールなど変わり種の寿司はぜひトライしてみたい。また、ここ10年ほどで増えたのが日本のラーメン屋さん。人気店にはいつも行列ができている。
Transportation
グリーンな街をめざすバンクーバーは、公共交通機関の充実にも力を入れている。
バンクーバー市内と郊外の中心部を結ぶスカイトレインは、初心者でも乗りやすい。空港にもスカイトレインでアクセス可能だ。バス路線も市内を網の目のように走っており、停留所の少ない、高速バスサービスもある。
また最近、注目を集めているのが自転車やeスクーター(電動キックボード)で、バンクーバー市内では公共の自転車シェアリングサービスもある。